一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

JICA研修 5日目報告

今日の講義は午前だけで午後は仙台に移動します。

午前中の講義は脳血管障害の自助グループ「戸山土曜会」代表の福田彰さんをゲストスピーカーに迎えて、障害者のリーダー育成をテーマに行いました。

障害者へのスポーツ振興を行うことに加えて、それらの活動の運営に障害者自身も関わっていくことを奨励することは、障害者権利条約にも記載されています。

日本でも昨年公開された第三期スポーツ基本計画でこの要素が初めて加えられました。

戸山土曜会は2008年に5名の当事者とその家族から始まった会ですが、現在では登録者241名の大きな集まりになっています。

月に一回のお話の会、春のバーベキュー、秋の旅行が基本活動でしたが、2013年からスポーツをする会が第2土曜会として新設され、立ち上げの頃からスポーツ指導のカリキュラムを作り、実際に指導もしてきました。2016年に卓球バレーを導入したときに、僕は指導を離れ、現在は当事者が運営する組織となっています。

お話をする会に参加できない方(言語野疾患があって上手く話せない自分を見られたくない人やうつ度が高く、自分語りができない人)も、スポーツなら参加できるのでは、と始まった最初の指導の時には20名以上いた参加者の半数以上は表情の表出もない状況でしたが、スポーツ活動での成功体験や他者との関わりを通して少しずつ心がひらかれていったのは今でも鮮明に思い返すことができます。

あくまでも参加者には楽しんでもらう中で、社会参加に繋がる経験をどのように盛り込むか試行錯誤していたことは今やっていることの基礎になっています。

さて、この土曜会241名が参加をしていますがその中で就労復帰した方が114名になります。

そこには僕のスポーツ指導もお役に立てたということを今日、福田さんからも聞きましたが、1人思いのある人がいて、その思いに引き寄せられるように多くの方が集まったからこそ、この大きな成果に繋がったと思います。

障害者スポーツの普及は情熱のある人を探して適切な支援を行うことだというのは師匠がよく言っていたことですが、土曜会はまさにその顕著な例だと思います。

研修員も、障害のある人の中からリーダーを育てるという考え方を実際のリーダーから学ぶことができて、貴重な時間になったようです。

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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