JICA研修 14日目報告①
師匠はよく言っていました。
「障害者スポーツの普及とは情熱のある人材を見つけ、支援すること」だと。
本来であれば障害者スポーツの振興は「個人の過剰な時間的・金銭的奉仕」なく行われるべきだと思いますが、現状、障害者スポーツの普及は、多くの個人の献身的な奉仕に依るところが大きいと感じています。週5日、定時での勤務で障害者スポーツ振興が行われる未来はまだまだ遠いですね。
さて、話は逸れましたが、いろんなところに行って様々な活動を見てきましたが、やはりその中心には核となる人材がいます。そういった人材が障害当事者であるとなおよいですが、障害当事者を含む複数の人間によるチームでも活動の核となることはできます。
今日の午前中の講義は、正にそういった核となる障害当事者でもある鈴木守さんに講師として登壇していただきました。障害者だから講師にするというのは僕は絶対にしません。親友でもある守ちゃんを講師として呼ぶ理由は大きく2つあります。
1つは、いわきサンアビリティーズ・スポーツ・サポーターズ・クラブという障害者が参加できる地域のスポーツクラブをいわき市からの委託を受けて運営していることです。十数年前、1人で体育館の隅で始めた卓球の練習に人が集まり、現在では120名を超える登録者がいます。
もう1つは、「障害=不幸」という偏見を壊してほしいからです。骨形成不全の中でも比較的重度な症状なのでたくさん大変な思いもしているのですが、守ちゃんはいつ会っても明るくポジティブなオーラが出ています。もちろん、守ちゃんがこれだけポジティブなんだからもっと障害の軽い人はどうこうなんてことを言いたいわけではありません。どこかで障害のある方に出会い、その人が自身の障害を不幸だと思っているときに、その人としっかりと向き合う心の拠り所が作れるということです。守ちゃんが人生を楽しく生きている姿を見たことで、目の前の人もいつか自身の障害と向き合い、人生を見る視点を変えるパラダイムシフトができるはずだ、と心に思うと関わり方は変わってきます。
そんなことを伝えたいと思いながら、スポーツクラブや震災後の避難生活などをテーマに3時間の講義を行ってもらいましたが、研修員からの質問が止まず、午前中の講義は30分延長となりました。