一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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合理的配慮のための建設的対話のきっかけになれば・・・

セブンイレブンが主催するサッカーチケットが当たるキャンペーンで
車いす利用者に対する対応問題

セブンイレブンが、この夏に行われる海外の強豪サッカーチームを招いた試合のチケットが当たる
キャンペーンで車いすを利用する障害者の応募を拒絶する対応を取っていたことが判明しました。

(外部リンク)
セブン―イレブンが車いすの人に「応募しないで」 パリSGなどの日本ツアーの観戦キャンペーン
https://www.tokyo-np.co.jp/article/264951?fbclid=IwAR15-X6dMVEpR3JqyAc6JB_iDGulCOUarlB1-Ie17X8KkG4qSsX0nK7_6SQ

全部で500のチケットが当たるこのキャンペーンでは、確保した席に車いす対応席が含まれていなかったため、セブンイレブンはウェブサイト上に『大変恐縮ですが、車いすご利用や介助が必要なお客様への対応は行っておりません。何卒ご了承ください。』という注意書をしていました。

これに気づいた車いすユーザーの方が問い合わせを行い、セブンイレブン担当者は担当者は「車いす席は用意していない。抽選には応募しても無駄」と回答したそうです。

今回の案件では記事内にもコメントがありますが、座席の割当を行う事務局が非を認めたことが大きなポイントと思います。以外、記事から引用します。

『ジャパンツアー広報事務局は取材に「座席の割り当て権限は当方にあった」とした上で、「スポンサーが実施する観戦チケットキャンペーン用に車いす席を割り当てる必要があるという認識が欠けていた。結果としてキャンペーンから障害者を排除、差別する事態を招いた。深く反省し、おわびする」と非を認めた。』
(引用ここまで)

記事から思うこと

国立競技場には車いす対応席が500くらいあるので割当ができないということはないのではと感じますが、こういったイベントを行う際に車いす対応席についても割当に含めなければならないという意識を運営側が持ったことは差別解消法の観点からも大きな一歩だと思います。

これを機に障害当事者団体などと双方が納得できる合理的な配慮に向けて前向きな対話が行われればと思います。

記事内では、問い合わせ窓口としてのスポーツ庁が機能しなかったことも書かれており、ここについては今後のコメントを待ちたいです。
また、今回応募を拒否された車いすユーザーの方の対応がどうなったのかについて記事では言及されておらず、こちらについても知りたいところですね。

まとめ

差別は、多くの場合、差別している側にその認識がないことが問題です。そのため単純に権利をもとに訴えを起こしても対立を招いてしまう必要があります。

理想論としては、権利を訴え、相手を糾弾して変化が起こればよいのですが、実体は残念ながらそうではありません。
今現状できていないことを責めるよりも、これから起こるポジティブな方向の変化を最大限に歓迎していくコミュニケーションが重要と感じます。

そういう意味では今回は、運営側の意識も変わるでしょうし、報道が出たからにはスポーツ庁も動くでしょう。これは歓迎すべき変化です。
ただ擁護できないのはセブンイレブン担当者の対応で(クレーマー扱いしてるみたいですよね)、こちらについてはセブンイレブン側からの何らかの対応は必要と思います。

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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