一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

淑徳大学で車いす操作スキル講習をしました

サントリーホールディングスのチャレンジド・スポーツプロジェクト「大学連携事業」

7月8日(土)に、千葉県の淑徳大学で一日の集中講座を行いました。
この事業は、サントリーホールディングス株式会社のチャレンジド・スポーツプロジェクト「大学連携事業」として実施するものです。

2021年度から事業が始まり、今年は3年目。
初年度は2大学、昨年は6大学、今年度は10大学程度での実施を予定しており、今日は今年度、最初の事業となりました。

淑徳大学での車いす操作スキル講習

淑徳大学では、毎年1日講習と2日講習を1回ずつ実施していただいており、毎回多くの学生に参加してもらっています。

実施する時期によって、3年生、4年生が参加しやすかったり、今回の事業では1年生、2年生の参加が多かったり、学生の学部も多岐にわたりますので目の前にいる貴重な時間を費やして参加していただいている学生の方に限られた時間で、どんなノウハウやメッセージを伝えていくかというのは、事前に準備もしますが現地で臨機応変に考えながら講義を組み立てていくのですが、本当に責任感の伴う仕事と感じます。

毎年2回の講座に合わせて70名から80名が参加します。彼らは卒業後に福祉施設に勤務したり、教員になったりします。

淑徳大学は非常に教員採用試験の合格率が高く、目の前にいる学生は数年後には教鞭をとるわけです。

現在の普通学校と特別支援学校の背景

今、比較的軽度の障害のある児童は特別支援学校ではなく、普通学校に進学しますので、

学校の先生の持っているスキルによって、例えば体育の授業が見学になるかどうかが決まったりします。

先生方も対応したくても、個人情報保護があるので、外部に相談できなかったり、そもそも相談する時間自体がなかったりしますので、これは教員を責める話ではなく、制度の問題です。

そういった状況を踏まえたときに、車いすに対するネガティブなイメージがない教師や、車いすに乗った人と立って歩く人が混ざってもできる遊びやゲームを知っている教師がいれば、障害が原因で実技教科を見学する児童が減るかもしれません。

そういった場面を増やすには、特定のノウハウを持っている教員の数を増やさないといけません。
だからこそ、地元地域で活躍する人材を養成する大学で「継続して」プログラムを実施する必要があります。

今年度、大阪では2つの大学で理学療法学科の学生を対象に2日間の集中講座を行う予定で、合わせて約80名の学生に指導をします。

日本理学療法士協会のホームページを見ると、大阪には9,906名の理学療法士が登録されています。
この大阪での2大学での事業を10年続けることができると、延べ受講人数は800名になります。これは大阪の理学療法士全体の8%という数字になります。

全ての理学療法士が車いすユーザーと関わるわけではありませんが、車いすの操作スキルを知っていて教え方もわかっている理学療法士が全体の8%になれば、そのノウハウが必要とする車いすユーザーに届く確率は上がりますよね。

だからこの事業は長く続けていくことに意義があると考えています。

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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