一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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宿泊施設のアクセシビリティ情報について

アパートメントホテル「MIMARU」のアクセシビリティの情報提供が丁寧です

 
 
「グループで一緒に泊まれる」をコンセプトに広めのお部屋を提供しているアパートメントホテル「MIMARU」の大阪 心斎橋EASTのホームページではアクセシビリティに関する情報がとても丁寧に記載されていますので紹介します。
ホテル情報をまとめたWebメディア、HotelBank (ホテルバンク)で、MIMARUを取り上げている記事へのリンクです。
 
 
(外部リンク)
誰もが安心して泊まれるホテルへ:MIMARUのアクセシビリティ向上の取り組み | HotelBank (ホテルバンク)
https://hotelbank.jp/new-hotels/mimaru-universal/

 
主観的な感想ですが、特に高級温泉旅館などハイエンドな宿泊施設におけるバリアフリーは最先端ではないかと感じています。
リンク先は山崎まゆみさん著の『バリアフリー温泉で家族旅行』という本ですが、実際のお風呂やお部屋の寸法や実際の写真がたくさん紹介されている本です。今、第三巻まで出ていますが、一見バリアフリーには見えないように工夫された事例などもたくさん載っていますので勉強になります。
 
(外部リンク)
バリアフリー温泉で家族旅行 – MAPPLE SHOP (昭文社)
http://ec.shop.mapple.co.jp/shopdetail/000000003551/
 
 
バリアフリーに見えないというのは、障害者スポーツに関わっていてもよく当事者から聞く話ですが、「病院には行きたくない」人が多いんですよね。どういうことかと言うと、手すりを付け、段差をなくし、床をフラットにし、壁を白くし、というようにバリアフリー化を進めていくと、スポーツ施設や文化施設であるにも関わらず、中に入った時に「病院みたい」と思うんですよね。それを嫌がる方は多いです。
 
特に非日常を味わうために訪れる温泉旅館でこれ見よがしな手すりが合ったりすると、病院や施設のように感じてしまいます。そこで、例えば壁に凹凸のあるデコレーションをすることで、部屋の雰囲気もよくなり、さらにその凹凸が歩く際の手がかりになるというような工夫が、特にハイエンドな温泉旅館では多く行われていると聞いています。
こういう視点に立つと、昨今いろんな公共施設でバリアフリー化が進んでいますが「病院化」しているところ、結構あるんじゃないでしょうか。

 
MIMARUホテルの大阪心斎橋EASTのホームページを見ると最下部に2つのPDFファイルが添付されています。

(外部リンク)
【公式】MIMARU大阪 心斎橋EAST | アパートメントホテルミマル(MIMARU)
https://mimaruhotels.com/jp/hotel/shinsaibashi-east/

 
1つは最寄駅からホテルまでの車いすでアクセス可能なマップです。エレベーターや急なスロープなどの位置などが明記されています。面白いのは急なスロープを示していることだと思います。宿泊体験は非日常体験なので、日々移動する経路であればエレベーターは車いすユーザーが自立して移動するために必須ですが、非日常であれば家族介助などでも対応ができます。ですので、バリアフリーだけではなく、バリアが掲示されているのがとても良いと思います。改善点を上げるならそのスロープの写真があるともっといいですね。例えば5度の傾斜と言った場合、なかなかそれを想像することはできませんが、写真があれば自分が一人で登れるかは判断できる人が多いと思います。
 
もう1つは、各部屋のバリアフリーに関する寸法です。写真と一緒に記載されているのでわかりやすいと思います。一次情報としての写真は重要です。以前、バリアフリーの観光に携わっている方から聞いたのですが、「うちの旅館はバリアフリーですよ」とホームページに記載をすると「ストレッチャー型の車いすの方が来る」そうです。
 
そのため、旅館等のバリアフリー情報を公開するときには、「どういうバリアフリーがなされているか」ではなく、「どういうバリアがあるのか(つまり居室やお風呂、お風呂への経路の具体的な寸法情報)」を記載することが重要となります。その情報を見て、「自分はこの温泉が利用できるのか」ということを判断できるようにするというのが重要ですね。
これらのことから、MIMARUの情報提供は非常に丁寧と言えます。
アクセスマップについては是非視覚障害の方向けの情報提供もするといいなと思います。
 

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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