一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

「東京おもちゃショー2023」で多様性がテーマに

先日、東京ビッグサイトで開催された「東京おもちゃショー2023」では「多様性」「脱コロナ」「環境」などがテーマになった出展が多かったそうです。
 
 
これまでLEGO®(レゴ®)や、マテル社のバービー人形などで、障害のある方をモチーフにした商品を紹介してきましたが、「メルちゃん」で知られるパイロットコーポレーションが、メルちゃんが乗れる「うさぎさん車いす」を発表しました。
 
 

車いすに暗いイメージを持つのではなく

 

リンク先のホームページ(開発ストーリー)を見ていただくと、実際の車いすユーザーの意見を取り入れて作ったことが紹介されています。ニュース記事では同社の担当者が「車いすに暗いイメージを持つのではなく、一緒におでかけできる乗り物という印象を子どもたちに与えたかった」と開発の想いを語っています。
 
 
(外部リンク)
産経ニュース
玩具にも〝多様性〟の波 東京おもちゃショー開幕、4年ぶり一般公開 –
https://www.sankei.com/article/20230608-QOZY5JHPC5M5BAU5KGJCU54HUE/
 
 

国内の玩具メーカーの先駆的な取り組みとして持続していくといいなと感じます。こういった商品はメーカーとして自社の玩具をどうしていくのかというメッセージにもなりますので、それ単体として大きな売り上げがないと消滅していくということはないでしょう。しかし全く売れないと継続はできないと思うので、今後を見守りたいです。

 
それと同時にこういった商品の監修の難しさを感じます。車いすユーザーとは言っても電動車いすを利用する方もいれば、手動車いすで自操している人もいれば、常に介助が必要な状態で車いすを利用する方もいます。
 
 
そういった中でどういった人の意見を取り入れるかというところは難しい点だと思います。海外の車いすを利用するキャラクター玩具では自操できる(自分で操作する)車いすが採用されていることが多いですが、今回の商品は介助が前提になる車いすになっているところは惜しいところだと思いました。後輪のサイズと位置の問題なので、自操ができるように見える商品としても製作可能だと思います。
 
(外部リンク)
「バービー|Barbie」公式ホームページ Mattelマテル
バービー ファッショニスタ カラフルロンパース くるまいすつき
https://mattel.co.jp/toys/barbie/category/barbie-13499/
 
 

ネガティブな印象の解消に繋げる

 
 
もしこの監修の仕事が弊社に来たらどう対応するかということをちょっと考えてみました。その場合、一番にお伝えするのは、車いすに対するネガティブな印象の解消に繋げることです。この内容はメーカー担当者の意図とも合致します。
そのために恐らく「かわいくしてほしい」ということを第一に伝えます。車いすということではなく、見たらかわいくてほしくなる商品としてデザインをしていくことが重要です。なぜなら、商品を見てかわいいと思った瞬間に車いすへのネガティブなイメージは解消されているからです。
 
 
僕はデザインは全くセンスがないですが、今回の「うさぎさん車いす」はかわいい状態にはなっていると感じました。デザイナーさんのプロ根性を感じます。
望むならば後輪を大きくしてもう少し前に設置してくれればなと言う感じです。後輪のスポークカバーを上手くデザインすれば全体のかわいさは減じないのではと思います。
でも国内メーカーがこういったところに理念を持って取り組んでいるのはうれしくなりました。
 
 
(外部リンク)
株式会社パイロットコーポレーション
うさぎさんくるまいす|商品情報|メルちゃん
https://www.mellchan.com/product/parts/usagi-kurumaisu.php
 

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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