一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

話題の人気漫画がドラマ化されます

 

軽度知的障害を持つ女性による純粋な恋を描いたラブストーリー・人気漫画がドラマ化

 
 
昨年、宝島社が発表する『このマンガがすごい!』でもランクインした話題作、漫画『初恋、ざらり』がドラマ化されます。主人公は軽度知的と自閉症がある女性です。コミックナタリー記事の文面を引用します。
 
 
『主人公・上戸有紗は軽度知的障害と自閉症を持っている。障害を隠して働くが、人間関係が上手くいかず、仕事でのミスも多いためすぐクビになってしまう日々。そんな自分に強い劣等感を抱える有紗は、知り合った男性たちから体の関係を求められるたび応じることで、なんとか自分の価値を確かめようとしていた。そんな中、新しいアルバイト先の先輩・岡村龍二と出会って恋に落ち、彼の優しさに触れることでで少しずつ心境が変化していき……。一方の岡村も、軽度知的障害の恋人を受け入れようとする中で生じる葛藤や、“普通であること”を求められ、それに応じてきた自身の劣等感に向き合っていく。』
 
 
(外部リンク)
軽度知的障害を持つ女性の恋物語「初恋、ざらり」ドラマ化 小野花梨&風間俊介が出演(コメントあり) – コミックナタリー
https://natalie.mu/comic/news/526969
 
 
生々しくはありますが、劣等感を体の関係で埋めるというところは非常にリアルに感じます。自身が描く理想の自己と現実の自己との乖離に苦しむ方は多いですし、体の関係ではなくても何らかの形で自己を傷つけることで自分の無意識と折り合いを付けている人も多いと思うので、変にお涙頂戴みたいな話にするのではなく、ちゃんと描くことができれば障害に関係なく、多くの方の共感を得ることになるのではないかと期待します。
 
 

最近、障害のある登場人物が出演するドラマ増えました

 
 
それにしても最近障害のある登場人物が出演するドラマ増えましたよね。

昨年のドラマ『silent』は聴覚障害、ドラマ『ラストマンー全盲の捜査官ー』は視覚障害、弊社が車いす監修で協力したドラマ『家族だから愛したのではなく、愛したのが家族だった』は肢体不自由障害ということで、知的障害と言うところにどこが最初に踏み込むかということは注目していました。
 
先日、軽度知的障害とADHDのある女性が出産したニュースが紹介されていましたが、コメント欄を見るとあからさまな否定はしなくとも肯定的ではないコメントの高評価が伸びています。
 
(外部リンク)
「めちゃくちゃ心配」された知的障害の女性が出産、「めっちゃいいお母さん」に 子育てを可能にした秘訣とは(47NEWS) – Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/3645384478280614935345122a6ef4ce1a18b2c0
 
 
こういった意識の変化を広く社会的に浸透させるには、今回制作するドラマのような存在が結構大きな影響力を持ちます。7月7日から放送開始ということなので注目です。ただ一連のドラマ化で心配なのは、障害のある登場人物が見目のよい方々によって演じられていることです。ルッキズムの問題がありますね。視聴者がその人物を受け入れている理由が「障害があることを忘れて一人の人間として共感するから」ではなく、「登場人物の見た目が良いから・美しいから」という理由であったとするのであれば、テレビを通して得た共感が日常生活の中で出会う障害のある方に続いていくかはわからないからです。
これだけ素材があるんだから、誰かドラマの視聴の影響を研究してくれないだろうかと期待しますね。

 
(外部リンク)
【ドラマ24】初恋、ざらり | テレビ東京・BSテレ東 7ch(公式)
https://www.tv-tokyo.co.jp/hatsukoizarari/
 
 

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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