一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

障害者に対して世知辛いコメントを読んでいると辛くなります

「鉄道の謎ルール 障害者割引“一人で利用はダメ” ルーツを調べてわかった意外な理由」という記事を読みました。

「交通系ICカードで障害者割引対応」というニュースはかなり前に紹介しましたが、実際制度が変わってみると、障害者単独では購入ができず、介助者用とセットで購入する必要があり、さらに本人用と介助者用はセットでないと利用ができないということです。

先日沖縄のモノレールで人員の不足によって駅に常駐する駅員が確保できず、障害者団体が懸念というような報道がなされたばかりで、恐らくコロナの影響で売上が落ちた期間が長かった影響もあると思いますが、限られた人的な資源を有効活用することは全国の公共交通機関の共通する課題だと考えていたのですが、JRについてはどうやら違うようです。

極端な例ですが、ドイツではそもそも改札がありません。特急では車掌が巡回して切符の確認をしますが、在来線では抜き打ちの検査がごく稀にあるだけです。そんな状況だと切符を買わずに電車に乗る人がいるのではないかと思いますが、いわゆるキセル乗車の被害は当時でも年間9億円と発表されていました。ドイツでは鉄道、地下鉄、路面電車、バスなどが共通のチケットなので、各駅に改札を設置し、そこに人員を配置するコストの方が大きいと考えていると思います。

クロネコヤマトの不在届けには、猫耳を模した三角の切りかきがあることで視覚障害者が、玄関に投函された厚紙をクロネコヤマトの不在届けと認識できるというのは有名な話ですが、この変更は視覚障害者のためではなく、人的なコストの削減を目的としていました。つまり、視覚障害者のお宅に不在届けを投函しても、不在届けとして認識してもらえなければ、不在届けはその役割を果たせません。そのため、配達員は何回も何回も視覚障害者が自宅にいるタイミングで訪問ができるまで通わないといけないわけです。しかし、不在届けを不在届けとして認識してもらえれば次の配達が最後の配達になります。

何が言いたいかというと、障害者に対する割引金額による売上の減少と、現状生じている人的資源によるコストは、特にJRでも無人駅を増やしているなかで検討し得る課題だと思いますし、障害者向けICカードを導入する圧にはなると思うのですが、JRはそこに投入する人的資源には困ってないということなんですかね。

遠距離は単独利用でも半額なのに近郊は介助者が必須という矛盾点とか、あれはハード面のバリアフリーのため、と言うかもしれませんが運賃もあげましたよね。こういうの一つずつあげていくとすごい矛盾があるのてすが、そういった視点よりも僕がいつも怖いのはこの手のニュースが出たときのコメント欄です。

基本、ネガティブな、というか障害者支援の制度に不寛容なコメントが多く、そのコメントへの高評価率も軒並み高いです。

こういうの見るといつも自分は全体の一割の少数派なんだなと実感しますね。

 

外部リンク

ゆいレール駅員不足で巡回方式の駅を拡大 介助が必要な乗客はどうする?障害者支援団体が懸念【沖縄発】(FNNプライムオンライン) – Yahoo!ニュース

鉄道の謎ルール 障害者割引“一人で利用はダメ” ルーツを調べてわかった意外な理由(TBS NEWS DIG Powered by JNN) – Yahoo!ニュース

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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