一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

女性であり、障害があるとは

今の会社を設立してからだと思いますが、いろんな障害のある人に出会って話を聞いてきました。
そんな中でよく聞くんですね。

それは「女性で障害があるとマイノリティの要素が2つになって困りごとも増える」ということです。
  
 
僕はドイツで働いた企業はすごく男性よりではありましたが、日本で働いた職場では女性が活躍しているところが多かったため、恥ずかしながら6、7年前までは強く意識はしてなかったのですが、女性であることによって生じる機会損失というのは強く意識できてませんでした。それでも気づかせてくれた人がいたので、それ以降は結構いろいろと話を聞くようにしました。その結果、日本の社会にはまだまだ女性であることによる機会損失が厳然とあることを痛感したのですが、ここにさらに障害による機会損失が加わると、それは日常生活や社会生活における多くの選択肢を制限することになると感じています。
 
不便さや困難さ、困りごとや辛さ、悲しみなどの物差しは社会にあるのではなく、個人にあると考えているので、「あなたは大変かもしれないけど世の中にはもっと大変な人がいる」という考えかたは好きではありません。その人が大変な状態にあるのであれば、その状況に共感することが重要です。
  
ですので、男性と女性の障害者を比較したときに、女性の方が大変ですよねと言いたいわけではないですが、実態としてどのような機会損失があり、選択肢が制限されるのかと言うことは冷静に把握する必要があります。
  
2013年にNHKで放送された「見えない世界に生きる―知的障害の女性たち―」では主に知的障害を抱
えた女性が、性風俗の世界で大勢働いている現実が取り上げられていました。僕もこの番組は視て衝撃を受けましたが、障害者ドットコムがこのテーマで記事を書いていますので紹介します。
(*下記にリンクを掲載しています)
 
本当に他人事じゃないですよね。僕も一般企業で4年ほど働きましたし、ドイツから帰国後もいろんなところで派遣で仕事もしましたが、日本的な会社組織には馴染めないといつも悩んでいました。発達障害者には同じ困りごとを抱える人は少なくないと思いますが、みんながみんな起業して成功するわけではないですよね。
 
僕も起業したとき、起業を志した時にはオリパラも決まっていなかったわけです。競技スポーツに関わる仕事は今も昔も全くしていませんが、それでも今の仕事のきっかけを辿っていくとその背景にはオリパラ招致があることは多いです。そう考えると起業が上手くいくかどうかは外的な要因に依るところも多いですよね。
 
もしオリパラ招致が決まっていなかったら、もし起業が上手くいってなかったら、今ごろ自分はどんな生活をしているのか、ということを考えると、こうやって取り上げられている事例は他人事ではないですね。

(外部リンク)
障害者ドットコム
なぜ障害者女性が性産業に流れていくのか – 成年者向けコラム | 障害者ドットコム
https://shohgaisha.com/column/grown_up_detail?id=2743

(外部リンク)
+αオンライン | 講談社
女性の発達障害——年齢を重ねるほど厳しくなる周囲の目にどう対応する?<職場編>(司馬 理英子)
https://gendai.media/articles/-/108779

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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