一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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出張先のホテルで『ドラえもん』を見た話

もうテレビがない生活を13年半送っています。
出張でホテル泊まるときが唯一テレビを観る機会です。
 
去年岩手に出張したときに、たまたまテレビをつけたら『ドラえもん』を放送していました。
ジャイアンが真剣な顔で、のび太とドラえもんにジャイ子について相談をするシーンでした。「ジャイ子がいつもと様子が違う。あいつ、好きな人ができたらしい。」とジャイアンが言った瞬間にのび太とドラえもんが「あのジャイ子に!」とお腹を抱えて笑いだしました。
   
その様子を見てジャイアンが「俺は真剣なんだ」と言って一旦収まったものの、二人は笑いをこらえながら相談を聞くというシーンでした。
  
それを観たときは、「これが令和の時代に放送されているのか」とビックリして、テレビの前で固まってしまいました。別に人は外見の区別なく恋をしますし、それは笑うことではないです。ルッキズム的には大問題のシーンです。
これと同じことがドラえもんを観る小学生の教室の中でも起こると考えないのかなと、作り手の責任を責めたくなりますね。
  
そしてジャイ子の好きな人はすごいモテモテの茂手もて夫という男の子で、このキャラクター、いわゆるモテそうな外見ではないんですね。恐らくそこも笑いのポイントとして制作側は仕掛けているのかと思います。ただ制作側はそこまで意図してないとはおもうのですが、モテ夫くんの立ち居振舞いはよかった記憶があって、こんな優しいモテ夫くんのような男の子がモテる世界線はいいなとは思います。
  
ドラえもんって元々はすごい多様性だと思うんですよね。普通はジャイアンみたいな乱暴者(背景には家庭内での母からのDVがあるでしょう)だったり、スネ夫みたいな金持ちの嫌なやつ(即物的な母親のもとで育ち、承認欲求の問題を抱えていると思います)だったりしても、排除しない包括性みたいなものがあったんだと思います。
  
そういったものは時代に合わせて常にリニューアルしていくものだと思うのですが、現実はそうではないんだなとビックリしたのを思い出しました。こどもに見せたくないと思ったアニメですね。
 
もうちょっと書くと、大山のぶ代さんから水田わさびさんに声優が変わって、ドラえもんののび太くんに対する立ち位置が母親から友達に変わりました。それは非常に今の時代を象徴しているように感じます。

 

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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