一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

色覚多様性の観点から考える現代の宇宙飛行士募集要件

色覚多様性の観点から考える現代の宇宙飛行士募集要件

※このブログは2022年6月24日のFacebookの投稿に加筆修正したものです。

以前紹介した『「色のふしぎ」と不思議な社会 2020年代の「色覚」原論』の著者である川端裕人さんの記事がYahooニュースに掲載されていたので紹介します。

Yahooニュース「日本が抱える色覚の課題 宇宙飛行士にも〝多様性〟の確保を」へのリンク
https://news.yahoo.co.jp/articles/ed1fd4a05a3e0068306dc154967b8074148f0a33

この著作自体が僕にとっては障害について新しい視点を与えてくれた本でした。ご興味ある方は是非ご一読ください。なぜ、色覚「異常」ではなく、色覚「多様性」なのか。常々偏見とは表層意識でどう思うかということではなく、もっと人間の根深いところに起因すると思い、進化人類学的なところから無意識バイアスについて興味を持ったりしていましたが、現在、人間の色覚が多様な状況であることの理由についても、人間の進化の観点からの最新の研究を紹介しており、読後にとても共感を感じた記憶があります。ともすれば感情論になりがちな論点を、科学という論理構築で一つ一つ解説をしていく論法も素敵だなと思いました。

「色のふしぎ」と不思議な社会 2020年代の「色覚」原論(Amazonウェブサイトへのリンク)
https://www.amazon.co.jp/dp/4480860916/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_AW8NMSAHHSMGZP6KDG6Z

さて、今回の記事は、先日、JAXAが広く宇宙飛行士の候補者を公募しましたが、その中で実は色覚が要件になっており、いわゆる2色覚とされる方が応募資格がない状態であったことを指摘するとともに、その判定の根拠になっている検査方法についても疑問を投げかけています(そのあたりは先述の著書により詳しく書いてあります)。イギリスの先端事例を交えての問題点の指摘も面白かったですし、単に否定するだけではなく、可能性を提示するという構成は僕もよく使います。単に否定するだけでは多様性を語ることはできないですし、そこに事実をもとに可能性を提示するのは優しさと厳しさの両方が見えて他人ごとではないというか、こんな文章を書いてみたいなと憧れの気持ちを抱きました。

僕が特別支援教育を学んでいた大学時代に、JAXAには東京大学で物理を学んだ全盲の方が就職し、「別に見えている人もロケットが飛んでいるところを肉眼で見ているわけではないから」とロケットの軌道計算をされているという話を聞いていました。特別な支援機器を開発したりなど、JAXAも視覚障害は関係なしに、その人の実行状況が能力に近づくための取り組みをしていました。こういった事例を見てもJAXA自体は決して排他的な組織ではないと思います。

実は僕は小学校低学年まではパイロットになるのが夢でした。小学校3年生の時に1.0以上あった視力が0.3まで低下し、そこで僕のパイロットへの夢は潰えてしまいました。自分がコントロールできる部分など人生のほんの一部ではありますが、それでも自己の身体的な能力特性によって選択肢が制限されることは苦しいことです。技術の進歩に伴い、そういった機会を制約される状況が一つずつなくなっていけばと思います。

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
代表理事
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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