一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

2022年度 岩手県障がい者スポーツ協会特別研修会

2022年4月に発表された第三期スポーツ基本計画では、スポーツ非実施層(現在スポーツをしていない層)にアプローチし、障害者のスポーツ参加を促進するという方針が書かれました。

今現在、各都道府県及び政令指定都市の障害者スポーツ協会は限られた人材と予算の中で最大限の活動をしているところがほとんどだと思いますし、精一杯取り組んでいてもまだまだやらなければならないことが多いという現実と理想の間に苦しんでいる方が多いことも承知しています。

さて、この状況の中、誰が非実施層の障害者にスポーツ参加を促していくのか、ということを考えたときに、それは現実問題として既存の障害者スポーツ関係者だけでどうにかなる問題ではありませんし、これ以上の障害者スポーツ関係者の身を切る犠牲のもとで行われるべきことでもありません。

この前提に立ったときに打てる手段はいくつか思いつくところではあるのですが、その一つが「自分たちができる範囲に限界があることをしっかりと諦めること」と僕は感じています。

自分たちができている範囲を客観的に評価し、できていないところについては、外部との協力で賄う。そういった調整能力やマネジメント能力(恐らく外部の人の声をしっかりと聞いて受け止める力と思います)が、今後の障害者スポーツ業界には求められてくるのではないかと思います。

その時、専門でない人でもわかりやすく簡潔に状況を説明し、目指すゴールを共有することが重要ですが、そのマネジメントの手法が、社会的インパクトマネジメントだと考えています。

コ・イノベーション研究所でも設立した2016年度からこの考え方は取り入れて、2017年2月の内閣官房の委託事業でも、社会的インパクトマネジメントで活用するロジックモデルの手法を提言書に取り入れています。

社会的インパクトマネジメントはこれからのトレンドに既になりつつありますが、まだまだ知名度は低く、今回の特別研修会では、実際に社会的インパクトマネジメントの手法を使って地域に障害のある人とない人が交流するスポーツの場を実現している株式会社ブリヂストンの事例紹介を同社の近藤大輔さんに紹介してもらいました。

また社会的インパクトマネジメントとは何かということを聴講者にわかりやすく伝えていただくために実践家でもあるインパクトマネジメントラボの鎌倉幸子さんにも基調講演で登壇いただきました。

また今回の研修会では、卓球バレーやサムスペルなど実際に現場で有効なスポーツの体験も組み込みました。体育館など特別な場所を使わなくても会議室程度の場所で実施できるもの、また運動強度や転倒防止などを考慮しなくてもよいアクティビティを選択しました。

日々の業務に追われると目の前の事業を何のためにやっているのか、ということが見えにくくなってしまいますが、今回のセミナーでは、そういったことを考えていくことが重要であるというメッセージを受け取ってくれた方もしっかりといて、意味のあるセミナーになったのではないかと、企画から関わっているものとしてはほっとしました。

今回で6回目の企画となりましたが、また来年以降も現場で必要とされる新しい情報の提供に取り組みたいなと思います。

今日はオンラインと対面のハイブリッド研修で、当社のインターン生が頑張って配信等のコントロールをこなしていました。頼もしい限りです。

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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