一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

2019年にエルサルバドルから参加した研修員の活動を紹介します

(画像は2019年のあまちゃんカップの様子です。)

 

先日、今年度のJICA課題別研修「スポーツを通じた障害者の社会参加の促進」が終了しましたが、今回紹介するのは2019年度のエルサルバドルから参加した研修員の活動です。

この年度はニッタクさん、日本卓球バレー連盟さんからの用具寄贈もあり、すぐに事業を開始したい気持ちもあったと思いますが、コロナもあり、事業開始までは多くの困難があったでしょう。研修終了後3年半の時間を掛けて今回の事業に繋げた熱意がすごいと思います。

彼自身が車いすを利用する障害当事者でした。この2019年の研修では岩手県久慈市で開催された卓球バレー大会「あまちゃんカップ」に参加したのですが、大会が終わってすぐに振り返りをしたときに彼が言ったことはまだ心に残っています。

「自分は障害者として自立して生きていくうえで何でも一人でできるようにならないといけないと思っていた。スポーツをするときも個人競技を選び、参加をしてきた。その考え方が染みついているので、卓球バレーに参加したときも「全て自分でやらないといけない」と思い込んでしまっていた。しかし、チームのメンバーを信頼し、任せることができたとき、チームはよりよい状態になった。これは僕にとって人生で大切な気づきとなった」

という言葉です。

残念ながら今年の課題別研修には障害当事者がいなかったのですが、障害者権利条約の基本理念に「私たちのことを私たち抜きに決めないで」とあるように、当事者がいることで研修の学びの質が深くなります。実際にこのエルサルバドルの彼に出会えたことが大きな気づきとなったと感想を述べた研修員は少なくありませんでした。

スポーツ体験はそれ自体楽しいものではあるのですが、こういった人生に関わる気づきを得られる確率をどうやって上げていくかというのは指導者として重要な視点と思います。

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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