一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

視線と瞬きでコミュニケーションする世界初の目の言語「blink to speak」

インドで開発された目を使う言葉「blink to speak」

重度の身体障害によって言葉を発することができない方とコミュニケーションを取ることができる言葉がインドで開発されました。元々は入院患者さんの意思を汲み取れなかったという経験がきっかけで開発されたものですが、高額なIT機器の導入などが難しいインドだからこそ、特別な道具が必要のないこのようなツールが開発されたようにも感じます。

上記の写真は、ふうせんバレーボールを考案した中心人物であった故・荒川孝一さん(2014年逝去)が入院していた福岡の専門病院に、私の師匠であるストローケンデル博士と訪問したときの写真です。2013年ごろです。

荒川さんは2007年ごろから福岡県の大牟田市にある筋ジストロフィーの専門病院で過ごされていましたが、初めてお会いした2009年の頃には、言葉を発することはできず、動くところは指、舌、目、まぶたくらいでしたが、特別な入力機器を使ってPCを通して会話をしていました。

指を使って手のひらに文字を書いてもらうコミュニケーション手段もあったのですが、僕はこれの読み取りが大変苦手で、基本的にはPCを使ったコミュニケーションをしていました。普段からスカイプチャットなどでコミュニケーションはよく取っていました。実際に病院を訪れて3時間~4時間滞在しても荒川さんが語る言葉はワードで1ページ程度。それでもチャット越しのコミュニケーションと対面して行うコミュニケーションは全然違うため、2009年から2014年に亡くなるまでの間、10回大牟田の病院を訪問しました。今回ブログで紹介するこんなコミュニケーション手段があれば、もっといろんな話もできたかなとも感じます。

目で行うコミュニケーション「Blink to Speak」は、インドで開発された世界初の目だけで伝達可能な言葉です。

Blink to SpeakのHPリンク(英語)
https://www.blinktospeak.com/

詳しくは下記の動画をご覧ください。

Blink To Speak from Blink on Vimeo.

上を見る、下を見るなどの視線の方向、まばたき、ウインクなどの8つの動作をベースにこの言葉は組み立てられています。各アルファベットに対してそれらの動作が割り当てられているため、直接アルファベットでのコミュニケーションも可能ですが、それに加え、痛い、医者を呼ぶ、痒いてなど病院で使うような言葉や、ありがとうなどの挨拶については短縮版の表現が割り当てられています(ガイドライン中には「ハグして」という言葉があるのが結構面白いですね)。

詳細なガイドラインについては下記のリンク先を参照ください。
https://docs.wixstatic.com/ugd/2a7b5e_220907a1c7054f40999004da66669b41.pdf

重度の身体障害に限らず、脳出血によって言葉を話すのが難しい状態にある方など、言葉が話せない人は、「意思がない人」として扱われることがあります。これは私がドイツにいたときにも感じたことですが、「ドイツ語が話せないと人間として扱われない」という経験をよくしました。自分の意思を言葉として発することができないと、意思があると認識されず、人間扱いすらしてもらえないということです。

障害や言語などの様々な原因で言葉を発せない方々が、このようなツールが開発されることによって意思表示できるようになることは、重度障害者の人権・尊厳・自立の面で大きな意味を持ちます。近年、日本でも様々な新技術が開発されており、今後の展開が楽しみです。

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
代表理事
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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