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車いすスポーツの講習会を日常用車いすで行う3つの理由(3)全三回

車いすスポーツの講習会を日常用車いすで行う3つの理由 第3回

先日のブログに引き続いて今日は第三回です。最後の理由は「心のバリアフリー」です。

理由2.心のバリアフリー

東京2020招致を契機に心のバリアフリー教育・研修が多く行われています

東京2020の招致が決まってから、パラリンピックや障害者スポーツだけではなく、
「共生社会」をキーワードとして「障害者」に対する興味・関心は大きく高まりました。

それに伴い、「障害理解」や「心のバリアフリー」を目的とした教育・研修プログラムが各所で行われるようになりました。
こういった動きを否定するつもりは全くありませんが、実は実施者の意図(障害者への偏見を緩和することなど)とは異なり、実施することで逆に障害者又は障害への偏見を助長してしまうようなプログラムも多く行われています。

心のバリアフリーの基礎は障害の社会モデルの理解です

「心のバリアフリー」と聞くと、「障害者への差別や偏見をなくす・心の中にあるバリアを解消する」という内容が言葉から想像されると思います。もちろん、これも心のバリアフリーの大事な要素ではあるのですが、最も大事な要素は「障害の社会モデルの理解」です。

これについては改めて詳しく取り上げたいと思いますが、例えば車いすユーザーが自分の行きたいレストランに入り口が階段であるために入店できない、というような状況があったときに「車いすユーザーであることが原因」ではなく「段差があることが原因」と考えるのが社会モデルの考え方です。

なぜ段差があるのかというと、車いすユーザーは少数派であり、社会の中では立って歩く人が多数派であるため、多数派の方に向けて社会が構築されているため、ということで、障害者のバリアの原因を、障害ではなく社会に求める考え方です。

「障害」ではなく「社会」への注目が必要

障害の社会モデルを理解するためには、「障害」ではなく「多数派を対象に作られることで少数派が困難を抱えてしまう社会の構造」に注目してもらう必要があります。これによって社会の一員として「障害に対する当事者意識」が生まれます。

現状、数多く行われているプログラム自体を否定するわけではありませんが、多くのプログラムで「アイマスク体験」や「車いすでの段差体験」が行われる傾向があります。これは「障害者の不便さや困難さを効率的に知ってもらうこと」が目的です。それを知ることで「障害者は困難を抱えている大変な思いをしている方たちだから街中で声掛けをしましょう」という行動の変化を引き出すことがこういったプログラムの最終目標に設定されます。

しかし、こういったプログラムでは「障害は大変」「障害は困難」「障害はかわいそう」という気持ちが生まれてしまい、本来注目させたい「社会構造」ではなく「障害」に意識が向いてしまいます。

日常用車いすで楽しい体験をすること

競技用の車いすは操作性もよく、安全性も高いので楽しく体験を行うことができます。しかし、特別なスポーツ用の道具であり、普通の車いすとは異なるため、その体験だけで障害への偏見を緩和することは難しいです。さらに、特別な道具を使うことは「障害への特別視」を強調してしまうリスクもあります。

しかし、日常用の車いすで「楽しい体験」ができれば、それは直接「車いすに対する偏見の緩和」につながります。「車いすに乗ることが楽しい」という体験をしたことがあれば、「車いすユーザーであることだけ」で車いすユーザーをかわいそうな存在と断定しないようになるきっかけが作れます。

こういった意識へのアプローチをしたいというのも日常用車いすで講習を行う理由の一つです。

4月21日、22日の講習会に是非ご参加ください。

講習会の詳細についてはリンク先(岩手県障がい者スポーツ協会HP)をご確認ください。
http://www.iwate-adaptive.or.jp/publics/index/116/#block352-345

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
代表理事
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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