発達障害の親のもとで育った子はカサンドラ症候群になりやすい
Yahooニュースの記事の紹介です。端的にまとめると、発達障害の親のもとで育った子は、カサンドラ症候群(不安や抑うつなどの不調になりやすい)から、思い当たることがあればすぐに受診を、という内容で、精神科医さんっぽい記事だなと思います。
気にかかることとしては、カサンドラ症候群は、下記のように定義されます。
「カサンドラ症候群とは、パートナーあるいは家族など身近にいる人がアスペルガー症候群のため、適切な意思疎通や関係性を築けずに、その心的ストレスから不安障害や抑うつ状態といった症状が起きている状態を指す言葉です。※リタリコさんのウェブサイトより引用」
つまり発達障害全体ではなく、アスペルガー症候群というように限定されているわけですよね。
でも記事の中では発達障害としてアスペルガーと並列にADHDやLDが書かれており、この記事だけを見ると全ての発達障害のある方の家族にカサンドラ症候群のリスクがあるというように読めます。
僕自身も、特にプライベートでは距離感の問題は常に抱えていて悩んでもいますし、近しい人に与える影響については不安がないわけではありません。
ただこの記事の中では具体的な事例としてアスペルガー症候群の人だとこういったコミュニケーションの齟齬があって、それがカサンドラ症候群につながるという事例を挙げているにもかかわらず、カサンドラ症候群の定義を下記のように広くしています。
「『カサンドラ症候群』とは、発達障害者のそばにいる人が、コミュニケーションに悩んで、心身の不調をきたすことを指します。」
アスペルガー症候群ではなく、発達障害者。家族やパートナーではなく、そばにいる人。という感じです。
アメリカでは、精神的な不調を感じたことを理由に精神科や心療内科の受診経験がある人が5割を超えるというデータを見たことがあります。日本では、その数字は20%を切っていたはずで、精神的な不調を感じた人が精神科や心療内科への偏見によって、必要な診療を受けられないことがたくさんあることが想定されます。
そういった状況を踏まえると、精神科の受診を啓蒙すること自体には大きな意味があると思いますが、この記事のようなやり方は発達障害への偏見を高め、社会モデルの理解を阻害するという意味で個人的には好きじゃないです。