一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by QUIs(くいず)

東京に続き、仙台の来日研修にも参加してきました!

こんにちは、コ・イノベーション研究所インターンの家中です。

先日のJICA東京での研修が終わり、仙台にあるJICA東北に移動し研修が行われていました。

私は、研修12日目から15日目にあたる4日間、仙台での研修に参加してきました。

 

12日目

社会課題解決及びSDGs推進のツールとしてのスポーツ

12日目午前中は、ツールとしてのスポーツについての講義でした。

Sports Developmentについての説明では、事例として女性の障害者スポーツ参加が挙げられていました。障害者の中で女性が少ないわけではないのに、女性のスポーツ参加が少ないことが課題として挙げられており、その解決策として、女性の得点を多く計算する事例が紹介されていました。女性の参加はスポーツ以外でも課題になりやすい事例ですが、障害がありさらに女性であるために参加機会の不平等さが際立つという課題があることを改めて知りました。同時に、女性の優遇についての考え方が変わりました。これまでは周囲のイメージなどから肯定的に捉えていませんでしたが、あえて優遇をすることで参加のハードルが少しでも下がるならば、積極的に行っていくべきだと思うようになりました。

また、車いすスポーツ参加への障壁としてチームの少なさや車いす購入・維持にかかるコストについても説明があり、かなりの値段が自己責任となってしまうところに疑問を覚えました。確かにスポーツをするために車いすを使用したり車を使って移動したりするのは本人ですが、障害のない人と比べて明らかに参加の手軽さが違い、上記のような理由で参加を諦める人も多くいると思います。社会参加のツールとなることができるように、この大きな負担を減らすことがどれだけ重要か分かり、そのために多くのアクターと協働することの大事さも感じました。

 

発達段階に応じたスポーツ指導

午後は、筑波大学で准教授をされている永田真一さんからの講義がありました。

午後の始めは、ロープやブルーシートを使って外でレクリエーションを行いました。私も参加させていただき、少し寒かったですが、コミュニケーションを必要とする遊びだったため、遊びを通して交流が深まりました!

 

気付いたら1時間も外で体を動かしていたことになります😲

 

永田さんは障害のある人の生活の質(Quality of Life)においてスポーツ・レクリエーション・余暇の役割について研究されています。

永田さんは段階に合わせて目標を細かく設定し適切な運動をする必要があるとおっしゃっていて、その具体例として年齢段階別の到達目標が書かれたシートが配られました。難しすぎても不安や退屈を招いてしまいます。このお話を聞いて、簡単なことから成功体験を積み、段階的に課題のレベルが上がっていく車いす研修の際のスモールステップを思い出しました。

各段階における適切な指導をすることの必要性が良く分かりますが、シートを見ると、かなり細かく設定されていていて、これにきちんと沿って指導を進めていくには指導者の知識・スキルがかなり重要だと感じ、きちんと教えることのできる人がどれだけいるのか疑問に思いました。そのため、この研修を通して、参加者のみなさんが自国に持ち帰り広めることが本当に必要なのだと思います。

 

 

13日目

アクションプラン作成

13日目は、これまで学んだ理論を実践に移すアクションプラン作成を行いました!

 

内容は仮想のものではなく、参加者の皆さんが自分の国で所属している機関でのことであるため、実際にどのようなステークホルダーがいてどのように彼らと協働できるかなど、具体的に想像しやすいプランになったように思います。また、皆さんにとっても、フィードバックを通して、帰国後の活動にきちんと活かされるような内容であるるなと思いました。

 

ステークホルダーにはプログラムの参加者や受益者に、障害当事者だけでなくその家族や学校の先生なども含まれす。当事者以外も挙げておくことで、問題分析が深まることが分かりました。例えば、障害をもっている当事者はスポーツ参加に前向きでも、親が「できないから」と可能性を阻んでしまうこともあります。起こりうることを具体的に深く掘り下げて考えるためには、多様なステークホルダーを想定する必要があり、また、今回は一人で考えていますが、帰国後、それぞれの機関のメンバーとさらに掘り下げることも必要だと思います。

 

 

14日目

障害者リーダーとの交流

いわき市からの委託事業として運営されている障害者のスポーツクラブである、いわきサンアビリティーズケアスポーツサポーターズクラブ代表の鈴木守さんから、活動について講義がありました。鈴木さんは先天性骨形成不全症のため、骨が弱く、骨折しやすい状態です。

鈴木さんには講義の前日にお会いし、宿泊されたホテルのバリアフリーについて教えていただきました。どの部分がバリアになり得るのか、当事者の視点から聞くと想像以上に配慮が必要ということが分かり、きちんと整備されているホテルや施設はあまり多くないことを知りました。

 

講義の中では、これまでの講義で知った課題が実際にあることが改めて分かるお話が多かったです。例えば、学生の時にその先の就職を見据えて車を購入したり、スポーツをするために地元にやりたいスポーツのクラブがないために自宅から10km離れたスポーツクラブに通ったり、などです。費用、時間、手間など、多くのハードルがあることで、障害のある人はない人と比べて体を動かす機会が減るという課題があることを知り、問題の原因は一つではなく、様々な要因が改善されないと解決に結びつかないことがよく分かりました。

 

また、鈴木さんは福島県のご出身で、東日本大震災の際もそうでした。そのため、障害をもつ人が避難の際に直面する困難についても教えていただきました。車いすユーザーの方が避難する際、男性が4人程いれば車いすごと担いで避難することができますが、そうでない場合、避難する時間がかなり長くなってしまうそうです。また、ご友人で障害の影響で逃げられれず亡くなった方もいたそうです。スポーツの機会についての問題をこれまで学んできましたが、命にかかわる部分でも、障害の有無によって差がでてきてしまうことが分かりました。自然災害は予測できるものではないので、周りに腕力のある人がどれだけいるのか、その時の状況任せになってしまうことに難しさを感じました。

鈴木さんのお話は、障害を持っていることを批判するような要素はなく、むしろ明るくご自身の背景を話してくださいました。講義のはじめに橋本さんが話していた「障害があることは不幸である」という偏見の打破が、この講義でできたように思います。(写真の明るさがそのことを物語っています!)

 

15日目

福島県の障害者スポーツ推進事例

福島県郡山市に移動し、郡山での取り組みを視察しました。パラリンピアンであり地域でも活動をされている増子さんに、ご自身の経験や活動について伺い、夕方からは卓球バレーの体験をしました。

 

増子さんは生まれつきではなく事故で受障し、それから2年後に車いすバスケットボールを始めました。当初は、障害者が外に出ていくことは簡単なことではなく、サポートも最低限生きていける程度でしたが、東京オリンピック/パラリンピック招致をきっかけに変わってきたそうです。

これまでも障害者がスポーツに参加するには障害のない人に比べかかる費用がかなり大きくなることは学んできましたが、パラリンピック選手というハイレベルな選手でも、自費で出さなければならない費用が多かった事実があり、続けていける人は一握りであったことが分かります。

 

また、増子さんは、「指導者に対して指導ができる指導者の育成が必要」とおっしゃっていました。地域レベルでも、適切に教えられなければ楽しむより先に挫折してしまう可能性もあります。まさにこの研修が指導者に対して指導ができる指導の育成の場になっているのだと実感しました。

 

障害者スポーツ導入教室体験

毎週行われている障害者スポーツの導入教室におじゃましました。

入念なストレッチの後、ボッチャ、車いすバスケットボール、車いすバドミントン、車いす卓球など、様々な種目を行いました。体育館にいる全員がひとつのことを同時にするのではなく、それぞれに合ったことをそれぞれが行うという形でした。一人ひとりに合った形で、楽しみながら行うことができるのはこのためだと感じました。

 

 

 

7日間の研修参加を終えて

東京で3日間、仙台で4日間と合計7日間の研修に参加し、D&Iへの知識はもちろん、研修生のみなさんとの交流や研修受講時の発言を通して学べたことがたくさんありました。

車いすユーザーに向けた車いす講座などは直接的な自立支援の取り組みだと思いますが、淑徳大学での車いす講座や今回の研修のような直接的ではない取り組みは、人を育てることにより、長期的かつより効果的なアプローチなのではないかなと思いました。1人が6人に教える→6人が10人に教える…といった形で、考え方やスキルが広がっていく様子が想像でき、こうやって課題が解決されていくのだなと感じました。その場に携わることができたことは本当に貴重な経験でした。

 

この記事を書いた人

QUIs(くいず)
COILインターンシップ
コ・イノベーション研究所(COIL)インターンシップ生によるチーム。社会課題の解決、共生社会の実現に向けて事業立案、企画運営、コンテンツ制作など取り組んでいます。
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