一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

奈良駅周辺の交通表示と社会モデル

昨日、視覚障害者用の交差点の押ボタンに「交通弱者用ボタン」と表示されている写真を紹介しました。この写真は興福寺のそばで撮ったものですが、結構いろんな交差点でこの表示がされていました。

「視覚障害者」ではなく「交通弱者」という表記があったので恐らくこのボタンを押すと青になっている時間が延長されるのだろうと想像していたのですが、奈良駅前の交差点では、白杖をつく視覚障害者のイラストが掲載された押ボタンの上に「このボタンを押すと歩行者の青信号が延長されます」と表記されていました。恐らく、青信号の延長だけではなく、視覚障害者対応のため、音も鳴るのでしょう。

それだったら、「このボタンを押すと青信号が延長され、音が鳴ります」と記載すればわかりやすいですね。

「交通弱者」という表現が好ましくないのは、現在は障害のある人が困難を抱える理由は社会(パワーバランスの強い集団が使いやすいようにデザインされた環境)にあるという社会モデルと言う考え方をしましょうと言われているからです。

つまり、特定の属性に該当する人が弱者となってしまう理由は、社会の側にありますよね、その環境設定にすることで結果として弱者となってしまう人を生み出していますよね、という風に考えようということです。

そのため、この写真で紹介したような「交通弱者」という表現は適当ではないですよね。

見かけたら道路を管轄している自治体や国道であれば国に訴えるしかないですね。

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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