傲慢と善良
何気なく仙台駅で手に取った本がなかなかヘビーです。
だいたい70ページくらいまで読んだので、全体の6分の1というところです。
何かといろいろと考えさせられる本です。
恐らく最後まで面白い本だと思うので未読の方は是非手に取ってみてください。
いい本は文庫本ではなく、ハードカバーで読みたいので文庫で買って失敗したなと感じてます。
結婚は人生の最大の選択のひとつと思いますが、その選択に向かう人の無意識の感情や行動をリアルに書いているからこそ、読んでいて常にヒリヒリします。
特に無意識下での甘えから来る傲慢さ、相手に配慮することないズボラさが、相手が存在する決断においでいかに残酷かということを自省せざるを得ない気持ちになり、なかなか読書スピードが上がりません。
普段から「専門家と勘違いして」「自身に実際以上の価値があると勘違いして」「相手の立場を斟酌することにかまけて」「疲労や疲弊を理由にして」誰かに負荷を掛けてしまっているのではないか、などいろいろと振り返ってしまいます。
僕は講師業が今はメインなのですが、講習や研修では事実や、何らかの形で立証されているもの、検証されているものを論理的に伝えていきます。でも、それを通して更なる何かを伝えたいとは思ってます。
しかし、この作家業という仕事は、架空の物語を通して、人の感情を動かし、言葉では定義づけや説明ができないことを伝えようとする仕事であると思います。それは僕はできないことなので、今回の小説も恐らく作者の意図通りに感情が動かされている状況が本当に高尚な技術と感じます。
しかも、一度作品として表に出てしまった後は、読者の解釈は多岐にわたります。本来意図したところとは違う受け取られ方をすることも多いと思うのですが、それをわかって作品を公開する潔さや度量の大きさがすごいなと思いますね。
空いた時間を使って少しずつ読み進めていきたいと思います。