一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by COILスタッフ青山(あおやま)

センサリールームの先行事例をご紹介します

こんにちは。

現在、成人を対象としたセンサリールームの整備に向けて先行事例を調査中です。

センサリールームとは?

センサリールームとは、音や光、ニオイなどの五感の刺激を少なくし、聴覚・視覚など感覚過敏の症状がある人やその家族が安心して過ごせる空間・部屋のことです。

大きくわけて3つのタイプがあります。

①感覚刺激を低減した部屋としてのセンサリールーム

サッカーやバスケットなどのスポーツ施設やライブ会場などに設置されていることがあります。周囲の音や光を低減することで、観戦や鑑賞に集中できるように設計された空間です。

②カームダウン・クールダウンスペースとしてのセンサリールーム

日本では空港や競技場、一部商業施設で見られます。小規模で、高いついたてなどで音や光、ニオイなどの五感の刺激をやわらげ、感覚過敏の方のストレスを緩和したり、感覚刺激によるパニック(メルトダウン)を落ち着かせることができるスペース(避難所)です。

③スヌーズレンを利用したセンサリールーム

スヌーズレンとは、知的障害がある人のアクティビティーとしてオランダでうまれました技法です。現在は、知的障害や精神疾患がある方が感覚刺激を自由に楽しめる空間やプレイセラビーとして福祉施設や医療施設に導入されるだけでなく、海外では一般家庭に、子どもたちの感性や感覚を育むアプローチとして取り入れられています。対象の安心できる空間を、調光や音響の整備により作り出します。

 

弊社では③のタイプのセンサリールームの整備を進めています。

その中で日本・海外それぞれの事例を調べていくと面白い取り組みがいくつか見つかりましたので、ここで共有させていただきます。

 

・ポートランド国際空港のセンサリー・ルーム

アメリカのオレゴン州にあるポートランド国際空港。コンコース(人の往来が激しい広い空間)の一角にセンサリー・ルームがあります。KultureCity(米国の自閉症支援NPO)、オレゴン州自閉症協会、ARCオレゴンと提携し、2022年に開設されました。

日本のクールダウンスペースと比較して広く、スヌーズレンでよく使われているバブルチューブやタクティルパネル(壁掛けのパズル)などがそろっています。部屋全体が落ち着いたデザインであり、幅広い年齢層の方が利用しやすい空間だと思います。

(参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=0TcXVdNK9jA

 

・「Snoezelen® Multi-Sensory Vehicle」

ヘルスケアメーカーのROMPAさんのセンサリーバスです。大型車の中にスヌーズレンルームが作られていて、予約すれば指定の住所まで来てくれるサービスです。より多くの方にセンサリールームを知ってほしいという理由でイベント向けに開発されたものですが、現在は一般利用向けの運用もしています。中はバスの外観より広く、プロジェクターやバブルチューブ、照明がそろっています。

交通機関の利用や長距離の移動が困難な方にもアクセスしやすいサービスとして注目です。

(リンク:https://www.rompa.com/snoezelen-multi-sensory-vehicle

 

・「Calm Down Centers」

これはスヌーズレンは使用していませんが、アメリカのカリフォルニアにある小学校で実施されている取り組みです。

何かしらの理由で自分の席で授業を受け続けられないと判断した生徒が自ら離席を申請し、教室の一角に設けられた「Calm Down Center」という名前の席に移動します。そこでは、お絵かきセットや粘土、スライムなどがあり、生徒は手遊びをすることでストレスを緩和させます。時間が来たら片付けて、静かに元の席に戻ります。

この取り組みは、子供たちが自分の感情を理解してうまく発散させる練習になっているとこの学校の関係者は語っています。

ストレスのコントロールは教育現場だけにとどまらず、どんな場面でも重要です。生産性を問われるビジネスシーンでも応用できるところがたくさんあるのではないでしょうか。非常に興味深い取り組みです。

(参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=DQbuu5ufHyA

 

 

こうした先行事例や弊社のインターン生の意見を取り入れながら、よりいいものを開発すべく、センサリールームプロジェクトに日々取り組んでおります。

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COILスタッフ青山(あおやま)
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