一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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by 橋本 大佑(はしもと だいすけ)

もしあなたが満員のエレベーターに乗っていたら、車いすを利用する方やベビーカーを利用する方にエレベーターを降りてゆずりますか?

こういった議論がメディアでなされること、それを視聴した人が考えることはとても意味があると思います。

オリパラの前、車いすを利用する方に「エレベーター、譲ってもらったことありますか?」とよく聞いていました。誰一人として「譲ってもらったことがある」とは回答しませんでした。

障害者には社会に障壁があり、一般的に多数派の人が問題なく使えるモノやサービスが使えないことがあります。これをアクセシビリティの問題といいます。

立位歩行する人は一つ上の階に上がるとき、階段、エスカレーター、エレベーターが使えますが、車いすユーザーはエレベーターしか使えないことがほとんどです。

使えるものが多い、つまり依存先が多いと、例えばエレベーターが使えなくても他の選択肢を選ぶことができますが、使えるものが少ない場合はそういうわけにはいきません。

そのため、エレベーターには優先して使う人が示されていることが多いです。

エレベーターを譲らない方にもいろいろな状況がある可能性もあるため、譲らないこと自体を責めてはいけないと思います。

では、実際に困った場面に出くわしたとき、どうするか。差別解消法では建設的な対話で解決しましょうと定められています。

建設的対話とは、双方が互いを尊重し、歩み寄っていくプロセスです。

そんなことができるなら、解決していることはいっぱいあると思うので、この建設的対話という言葉を思い返すと、鶏が先か卵が先かという言葉が頭をよぎります。

個人的にはこういう問題は本質的な問題の結果として生じている現象だと思っていて、じゃあ本質的な問題は何かと言うと、日本人の抱えるストレスや疲労が尋常ではなく、余裕がないことだと感じています。

余裕のない人に話しかけると、爆発してしまうのではないかという恐怖感もありますが、みんなが少しずつ余裕をもってお節介になることが究極の対応策ではと思ったりします。

リンク先の記事のように当事者が炎上のリスクを背負って発信しないといけない状況は好ましくないなと痛感します。

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この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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