一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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4月1日~4月3日 ドイツ・ケルン市で世界最大の車いすラグビートーナメントが開催されます

ケルン市で開催される車いすラグビーのクラブトーナメントであるベルンド・ベスト大会が今年4月に開催されます。

最も多くチームが集まった時は50チームが参加した大会でした。ドイツからだけではなく、ヨーロッパ、さらには大洋州や北米からも参加がありました。

この大会が車いすラグビーの大会になってから今年は20回目の記念大会で、それ以前は車いすバスケットボールのクラブトーナメントとして開催されていました。最大で参加チームは120チームを超えたはずです。

講習会とかでは、詳細を解説することもあるのですが、今日は3つだけ紹介します。

①ドイツの車いすラグビー人口

ドイツでは競技導入から約10年間、普及だけを行い、トーナメントは行いましたが、選手権大会を開催しませんでした。ある程度チーム数が増え、その中で競技的に楽しみたいチームと、レク的に楽しみたいチームがそれぞれ十分な数確保された段階で初めて選手権大会を開催しました。こういった活動の結果、ドイツには40チーム以上が存在し、プレーヤー数も400名に迫ります。

日本よりかなり多いですが、頚髄損傷の方の参加数ということであれば、日本にはツインバスケがあるので、単純比較はできません。ドイツで特筆すべきは女性プレーヤーの数が50名を超えること、そして脳性麻痺のプレーヤーの数が多いことが挙げられます。特に脳性麻痺プレーヤーはなかなかトップレベルでプレーする際にアドバンテージが得られないのですが、レクとしての車いすラグビーが広まっているドイツでは結構脳性麻痺プレーヤーも見ます。

②リーグ制の導入

ベルンド・ベスト大会は4つのリーグで運営されます。①チャンピオンズ・リーグ、②プロフェッショナル・リーグ、③アドバンスド・リーグ、④ベーシック・リーグの4つです。

僕が現地にいたころは、①のリーグは国際ルールに則り、各国からの強豪チームが参加します。②及び③はドイツ独自のルールに則り(4名の合計ポイントを7点で構成、かつ女性プレーヤーのアドバンテージを1点)実施。昨年の成績に応じて②に参加するか③に参加するかが決まります。④は始めたばかりのチームでも参加できるリーグです。

能力差やプレーの動機づけが異なるチームが混在して試合をしないようになっているため、各チームが実力が近いチームと試合ができます。あと、このシステムのすごくいいのは審判やオフィシャルもベーシックリーグから経験を積めることです。僕も昔、日本の大会でオフィシャルやったことありますが、初めてのオフィシャルが日本選手権と言うのはプレッシャーが高すぎました。

③スローガンがいい

何度かFacebookで紹介していますが、ベルンド・ベスト大会のスローガンは「Rugby or not to be」です。これは、シェイクスピアのハムレットからのパロディです。原典のセリフは「To be or not to be」。日本語では「生きるか死ぬか、それが問題だ」という訳が有名です。

これは父である王を叔父に毒殺されたハムレットが「叔父に復讐するかしないか」を迷うシーンで出てきます。父に代わり王になった叔父に復讐をするなら本懐は遂げられますが、王を殺した重罪人として処刑されてしまいます。しかし、復讐を行わなければ自らの命は保証される。つまり、「人生の目的を遂げて生を全うした結果として殺されるか、心を殺して死んだように生きていくかどうするか」という問いかけが「To be or not to be」でこれは非常に普遍的な問いです。ありますよね、やったら大変なことになるかもしれないけど、やらないと後悔しそうなとき。

つまり、ベルンド・ベスト大会の運営を行っていたドイツの車いすラグビーのプレーヤーたちにとって、「車いすラグビーをやるかどうか」というのは「自らの人生を謳歌できるかどうか」という問題なわけで、もちろんみんな謳歌するために車いすラグビーをやっているんですよね。彼らにとっては車いすラグビーは単なる競技ではなく人生ということです。いいスローガンだなと思います。また、この大会については近づいた時に改めて違う角度からも紹介したいと思います。

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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