大学入試共通テストの倫理・社会・経済の問題文がバズってるので紹介します。
最近の受験生は能力主義の格差社会の中で生きていて、「親ガチャ」のような言葉も流行って、という中で生きているのに、共通テストの設問でもこんなものを突き付けられるのかと思います。
僕だったらたぶん問題文読んだところでモヤモヤして次に行けない気がするのですが、もしかすると、この設問のような会話は今の受験生には心理的負担のないレベルの会話になっているのかもと思うとちょっと怖くなりました。さとり世代という言葉がありますが、自分がこの世代に生まれていたとしたら、物質的な欲望は切り捨てていかないと心の平穏が保てなくなるかもと思います。世知辛いです。
設問中で才能というキーワードが出てきますが、才能とか適正ってそんな簡単にわかるものでも、割り切れるものでもないのになとは思います。少なくとも運や努力の視点からだけで考えるべきものではないですよね。
以下、長くなりますが問題文書き起こします。
高校生GとHが交わした次の会話を読み、後の問いに答えよ。なお、会話の問いのGとHは各々すべて同じ人物である。
G:すごい豪邸・・・。こんな家に生まれた子どもは運がいいね。不平等だな。
H:生まれた家とか国とか、個人が選べないもので差があるのは不平等だとしても変えられないよ。与えられた環境の中で頑張ることが大事だよね。この家の子どもだって、社会で成功できるかどうかは本人次第だと思う。
G:いや、その子どもも、家が裕福なおかげでいい教育を受けて、将来お金を稼げるようになったりするでしょ。運の違いが生む格差は、社会が埋め合わせるべきだよ。
H:それって、幸運な人が持つお金を不運な人に分け与えるということ?運の違い何て、そもそも社会の在り方と関わる問題だとは思えないけど。
G:そう?例えば、運よく絵の上手な人が漫画家としてお金を稼げるのは、漫画を高く評価する文化が社会にあるおかげでしょ。人の才能も、社会の在り方によって運よくお金になったり運悪くお金にならなかったりするよ。
H:なるほど。けど、才能を成功に結び付けるのは社会だけじゃないよ。漫画家も才能を磨いてプロになるわけでしょ。そうした努力については、個人を評価するべきじゃない?
G:一理あるね。ただ、努力の習慣が身に付くのも運による面はあるよ。地元の学校が「褒めて伸ばす」方針で、何事も頑張って取り組むようになったとか。努力できるようになるかどうかは、社会の仕組みや構造に左右されると思う。
H:それはそうかも。ただ同じ境遇でも、苦学して立派になる人もいればそうでない人もいるし・・・。最終的には、努力は個人の問題じゃないかな。
G:するとHは、運の違いが生む格差は全て、個人が努力で乗り越えるべきだと言うの?幸運な人と同じだけ努力した不運な人が、格差のせいで幸運な人に追い付けないようだと、不運な人の努力は評価されていないとも言えるよ。
H:確かに・・・。ただ、努力も全て運次第だからという理由で、努力する人がしない人と同じ扱いを受けるとしたら、それはやっぱり不公平じゃないかなあ。
G:そうだよね・・・。次の倫理の授業が終わったら、先生にも聞いてみようか。
場面が変わって先生との会話です。
G:先生、人生は運にも左右されると思いますが、運の違いが生む格差は社会が埋め合わせるべきでしょうか。Hと少し議論になったのですが・・・。
先生:興味深いですね。二人はそれぞれどういう意見なのですか。
G:私は、運の違いが生む格差を社会のあり方で変わるものと捉え、社会ができる限り埋め合わせるのが望ましいと思います。
H:私は、そうした格差については、社会も無視できないけれど、努力が報われることの方を重視するのが望ましいと思いますね。
先生:なるほど。では、なぜ、そう考えるのでしょうか。
G:そうですね・・・、社会は公平であるべきだからと思います。お互いを尊重する社会であれば、自分はここに居ていいと感じることができ、物事を選択する際にも、適度な自信と責任感を持てるはずです。
H:え?それでなぜ、さっき先生に言ったような意見になるの?
G:だって、運の違いが生む格差を社会が埋め合わせなかったら、自分自身が選んだわけではない家庭環境などで評価が決められてしまう社会になりかねなくて、お互いを尊重できなくなるかもしれないでしょ。
H:そういう考えだったんだ・・・。私は、運の違いが生む格差を社会が埋め合わせる中で、努力まで運のおかげだということになると、努力する人は、自身が適切に評価されていないと感じてしまって、人々がお互いを尊重できないと思っていたんだよね。
先生:二人とも、人々がお互いを認め合って敬意を払い合う社会を望んでいたということでしょうか。
H:なるほど。Gと意見が一致している面もあるように感じていましたが、敬意という言葉はあまり考えたことがなかったですね。
G:私も、敬意という言葉を聞いて、理解が深まった気がします。二人でもう一度話し合った方がいいかもしれませんね。
先生:是非そうしてください。運の違いも努力の差も軽視しない社会の仕組みを考え付くことができるといいですね。
後編に続きます。
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