一般社団法人 コ・イノベーション研究所

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車いすインストラクター養成事業を始めます(1)全5回

車いすの操作スキルを指導できる人材の養成研修を開始します

本年度から車いすインストラクターの養成講習を定期開催します

5月12日、13日に操作スキルを指導するインストラクターの養成講習を開始します。

インストラクター講習リンク(HP内のイベント紹介ページへリンク)

h3>ドイツ式の指導法を日本人向けに最適化してカリキュラムを作りました

この講習で採用している指導法のベースは、当研究所名誉顧問のホルスト・ストローケンデル博士が車いすスポーツ指導40年の実践を通して作り上げたものです。その指導法を、より日本人を適した形に修正しました。

ストローケンデル博士の車いす指導の様子

なぜ、日本人向けの最適化が必要だったかと言うと、それはドイツ人と日本人では「学び」に対する姿勢が異なるためです。ドイツで約5年過ごした経験から確信を持って言えるですが、ドイツ人は個別指導のときでも、集団の中でプログラムに参加しているときでも

わからないときに「わからない」と言える国民です。

私はドイツにあった日系法人で働いていましたが、会議のときに30分、1時間経ったころにふと参加者が手を上げて「今さらそんな基本的なことを聞きますか?」というような質問をする現場をずーっと見てきました。

集団の学びの特性を理解することで日本人向けの最適化が可能となった

つまりドイツでは、自分が質問をすることによって「誰かの迷惑になるのでは」という意識がほぼないわけです。

しかし、こういった基礎的な質問が繰り返されることが、実はしっかりと理解できていないことをそれに気づかないまま何となく聞いている人々の学びにつながったりします。そして、そういった基礎的な質問を機に次の質問が生まれ、集団の学びが底上げされていくわけです。

ドイツでの集団指導の様子

そのため、講師は対象からの「わからなければ質問がある」という信頼感を前提にある程度ラフに指導を組み立てることができます。

実は、8年ほど前に、ドイツ式の指導法をそのまま日本で実践してみたときには、習得のスピードなどについてドイツで実施するほどの効果が感じられませんでした。そこでいろいろと勉強して何が原因かを突き詰めた結果が「学びに対する態度の違い」と気づきました。

海外のソフトを日本に輸入するとはどういうことか

そこで、日本人の学びの特性、一時期は仏教哲学史などにも手を伸ばしました。さらに、障害があることによってできないことが多く自己有能感を損失している場合には更なるアプローチが必要なこともわかり、そういった状況に合致するようにカリキュラムを組みなおしていったわけです。これには大体6年ほど時間が掛かりました。

ただ問題は自分がアレンジしたプログラムが「最低限のレベル」にあるかどうかを評価してもらう機会がないことでした。しかし、ちょうど3年ほど前にとても尊敬する方が「よいプログラムである」と評価をしてくれました。そこで、最低限のレベルに達していると割り切って、この資格化への準備を進めてきたわけです。いろいろな方にご協力をいただきましたが、ようやく定期実施できる形になりました。ここまでドイツから帰国して9年、準備を始めてから3年ほど掛かりました。

国内での集団指導の様子

近年は東京2020に向けて心のバリアフリーをキーワードに仕事をさせていただく機会が多いのですが、心のバリアフリーの基礎となる「障害の社会モデル」は欧米で確立した理念です。車いすの指導法でさえ、日本に向けての最適化にこれだけ時間が掛かったので、この社会モデルという理念についても日本文化独自の解釈を加えて最適化をするには、本来とても長く時間が掛かるのが当然で、海外のソフトを日本に輸入するとはそういうことなんだと感じています。

さて、車いすのインストラクター講習では師匠のストローケンデル博士をはじめ、多くの方からバトンをいただきました。このバトンを一人でも多くの方に乗り方ではなく、指導法として渡していくことで、今、まさに車いす操作が十分できない車いすユーザーさんにスキル習得の機会が増えるように事業を推進していきます。

ご興味ある方は是非お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

橋本 大佑(はしもと だいすけ)
代表理事
筑波大学で障害児教育を学んだ後、渡独して現地日系企業(THK株式会社)に勤めながら障害者スポーツを学ぶ。2009年に帰国し、障害者の社会参加を促進するためのスポーツを活用した事業を実施。2016年より現職。国内外で共生社会や障害者スポーツ指導者養成に関わる講習を行う。また共生社会の実現に向けて企業を対象としたセミナーやコンサルタントも行う。
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